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続々 徒然の山
 
     
 
  第八三章 長瀞アルプスと霊山 宝登山(ほどさん)
 
     
 

宝登山埼玉県秩父市長瀞町の山。標高497.1メートルの三等三角点の山。長瀞駅より徒歩15分の山麓からは全長832メートルを5分で結ぶ宝登山ロープウェイが架設。ここでは50人乗り、二台のゴンドラが山頂駅とつるべ式で往復している。山頂の 蝋梅(ろうばい)園(えん)は関東一、品種の多い梅園で1月上旬〜2月中旬には蝋梅(ろうばい)が咲き誇り、甘い香りを漂わせている。山頂南面からは秩父盆地、武甲、丸山をはじめとする奥武蔵の山々や奥秩父方面が眺望できる。山頂付近には宝登山神社奥宮が祭られ、宝登山小動物公園も建つ。長瀞駅から表参道ハイキングゴースを登ると山頂まで80分要。
長瀞アルプス 宝登山から北に延びる尾根上の野上峠の北側、万福寺近くまでのなだらかな山並。宝登山北側の200階段の登路は裏参道と称す。
蝋梅 ロウバイ科の落葉低木。中国原産。高さ3メートル、葉は卵形、両面ともざらつく。冬 葉に先たって香気のある花を開く。外側の花弁は黄色、内側のは暗紫色で蝋細工のような光沢を有し、のち、卵形の果実を実させる。観賞用。別名、唐梅(からうめ)、南京梅。季語は冬。−広辞苑−
宝登山神社 約二千年の昔、日本武尊により創祀された。神武天皇、大山祇神、火産霊神を祀る。秩父三社の一社。火防、盗賊除、諸難除の霊験あらたかな神として崇敬を集める。

蝋梅の咲く山

1月末の新聞記事で山頂に蝋梅が咲くという宝登山の存在を知る。だが、資料がまるでない。インターネットにも載っていない。友に訊ねてもらちがあかない。諦めかけて長瀞観光協会 電話 0494(66)3111 に問い合わせると、おびただしい案内書を送ってくれる。ありがたい。これで、どうやら登れる。

2月14日 馬鹿陽気
日本列島は北海道付近の低気圧に向かって南から暖気が流れ込み、全国的に気温が上昇する。2月の観測史上最高を記録した地点が全国105カ所にのぼる。当日は熊谷駅近くのビジネスホテルに泊まる。日没後はさすがに気温が下がる。エアコンをつけると暑いし、切ると寒い。なんとなく寝苦しい夜を過ごす

2月15日 晴天
熊谷駅で多数のハイカーにまぎれて三峰口行の秩父鉄道に乗る。野上駅で下車したパーティは、ほとんどが道標がしるす長瀞アルプスに向かう。梅の花があちこちに咲く閑静な住宅街を通って万福寺前を左折すると、間もなく登山口に着く。 枝沢沿の緩やかな幅広道を直進、短い急坂を登って尾根上にでる。山腹西側を巻くあたりで御嶽山、天狗山への分岐を左手に見送る。次の宝登見のタルからはどっしりとした山容の宝登山を望む。逆コースを歩く多数の人々とすれ違う。宝登山を目指すハイカーは引きも切らず、あと先につづく。
峰を越え鞍部へ下っては、また登り返すごとに宝登山が大きく迫る。下った鞍部の3分岐で左下方の氷池から登る人にも出会う。野上峠の十字路では左氷池、右三軒家への道を分ける。宝登山へは直進する。小鳥峠でも氷池への道が左折する。
小鳥峠から3分先で長瀞駅へ通じる車道に降りる。右折して舗装路を約500メートル登った車道終点で一息入れる。 そこからは裏参道の階段登りがしばらく続く。踊り場について、ほっとするのも束の間、頭上には次の階段が連なる。階段を登りつめて宝登山山頂に立つ
山頂には数百人の老若男女が休憩している。蝋梅の花が山頂を黄色く染める。甘い香りが漂う。カメラを構えて写真を撮りまくる。見知らぬアベックからシャッターを押して欲しいと頼まれる。青空に蝋梅が映える。

 
 
     
 
 
 

 

 
 

  ながとろに

 
 

  すそのをながす

 
 

  ほどさんは

 
 

  ろうばいさかせ

 
 

  百花繚乱

 
     
 

 
     

  山頂をあとに表参道を下る。このコースにも登る人、下る人が多数いる。幼児を乗せた乳母車を押しながら登る夫婦連れも複数見かける。 宝登山神社の境内に下山して装備を解き、御利益ありますよう神社に参拝する。参道の大鳥居をくぐる際には頭に巻いたバンダナを脱ぐ。R140を渡ると間もなく長瀞駅に到る。駅前にはハイカーや観光客目あての土産物店がずらりと並ぶ。駅から一分歩くと、長瀞観光定番の長瀞ライン下りに興じたり、岩畳でくつろげる荒川にでる。 駅横の線路を渡って右折、徒歩三分の長瀞グリーンホテルに立ち寄り日帰り入浴をする。長瀞町長瀞872。電話0494(66)3333。長瀞駅から最も近い入浴施設。入浴料 平日630円、土、日840円。山帰りのハイカーに人気がある。天然温泉ではないがラドン温泉でも入浴効果はある。汚れを落とせばさっぱりして気分よく家路につける。フロント係りに昼間ホテル内で催される演劇、歌、舞踊などの観劇を勧められるが笑って断わる。
駅へもどる途中でも宝登山から下山した人々に出会う。彼らも風呂に入りたい一心で、疲れた足を引きずってぞろぞろとホテルへと向かう。
お疲れさん

 

 

     
 

 


 
     
 

 

 
 

≪ タ イ ム ≫

熊谷駅(秩父鉄道)   8:18 
野上駅          9:02 ― 9:10
万福寺           9:25 ― 9:35

御嶽山、天狗山分岐 10:07 ― 10:13
野上峠         10:38

小鳥峠         10:50

車道出合        10:53
裏参道 階段入口  11:07 ― 11:12
宝登山         11:47 ― 12:10
宝登山神社      13:00 ― 13:25
長瀞駅         13:35
長瀞グリーンホテル 13:45 ― 14:25
長瀞駅         14:30 ― 14:40
熊谷駅         15:25


デジカメ談義

行きつけの写真屋が近ごろ閉店した。愛用のカメラはレンズシャッターの大型一眼レフ。山の写真はいつもその店で現像していたので当てがなくなり困惑する。
我社にも仕事で使うデジタルカメラやプリンターがある。デジカメを活用できればプリントは社内でできよう。ただし、デジカメは未体験。宝登山では使い慣れた一眼レフも念のため携行するつもりでいた
ところが入山日は馬鹿陽気。冬用防寒具一式を身につけずにザックに詰めると、やたらと重い。ちなみにデジカメの重量は180グラム一眼レフは990グラム装備中最も重い一眼レフを除くと、ザックはけっこう軽くなる。そんな事情で本紀行ではデジカメだけを携行する。
重たくてかさ(**)ばる一眼レフの携行時には写真を撮るたびに背負ったザックを肩から外してカメラを取りだしたものだが、コンパクトなデジカメは上着のポケットに入れて持ち運べる。うまく写せるかどうかの自信などなくても、ロケーションのよいところでは、すぐさまシャッターを押せる。
結果、初めてにしては上出来。撮り損ねた写真は一枚もない。どうやらデジカメにはまりそうな気がする。
本誌のP-3はデジカメで写した蝋梅園のスナップ写真です。
一度は登るべき いい山ですよ。


 
     
 


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